相続税申告時の時価評価

■相続税評価と時価

[1]財産の評価
財産の評価は、相続税法第22条において「当該財産の取得の時における時価による」とされています。
しかし、国税庁では、相続税法第22条の時価の解釈及び評価の画一性・迅速性・簡便性のため、財産評価基本通達を制定し、「財産評価基本通達によって評価したものが時価である」としています。

[2] 相続税評価について〔国税庁 事務連絡〕
《平成4年3月》
まず相続税の申告では、土地の評価は、原則的には路線価が基準とされることは周知の通りですが、路線価に基づく評価額が「時価」を上回った場合の対応について、国税庁は全国の国税局に次のような事務連絡をしています。

1.路線価等に基づく評価額が、その土地の課税時期の「時価」を上回ることについて、申告や更正の請求の相談があった場合、路線価等に基づく評価額での申告等でなければ受け付けないなどという事のないように留意する。
2.路線価を下回る価額で、申告や更正の請求があった場合には、相続税法上の「時価」として適切であるか否かについて適正な判断を行うこと。

具体的には、各種地価動向調査等による当該土地周辺の地価動向を把握し、例えば、当該土地が売却され、その売買価額を根拠として申告等がなされた場合には、他の売買事例との比較から当該土地の売買が適正な価格での取引といえるかどうか判断する。あるいは精通者(不動産鑑定士等)への意見聴取を行うなどして、当該土地の課税時期における時価の把握を行う事とする。

《解説》

相続税の申告において土地等の場合、財産評価基本通達に基づく路線価評価で算定した価格が適正な時価を大幅に超える高い評価額となる場合には、必ずしも路線価評価による価格で申告しなくてもよいということです。

つまり、不動産鑑定評価による価格でも構わないということです。
※税理士先生が、単純に相続税路線価から、相続財産を評価した場合、高い相続税額になるという可能性が残念ながらあります。但し、不動産鑑定が、税務調査により否認されることもあります。
(鑑定を使う時は、納税者の理解を得ることが重要です。)

■ポイント
こんな土地の場合は要チェックです。
相続税の申告の際に、鑑定評価により時価を算出すべき土地とは?

■個別的減価要因の強い土地が、そのほとんどを占める
1.間口が2m未満の土地
2.間口が2m以上あっても奥行きが異常に長い土地
3.道路面から5m以上、高低差のある土地
4.全体が傾斜地の土地(造成費大)
5.前面道路が建築基準法の道路に該当しないとき
6.無道路地
7.極端な不整形地
8.面積が大きい土地(500m²以上)→ 広大地適用可否判断
9.市街化調整区域内の山林・雑種地
10.築年数が古く空室の多い賃貸マンション
11.境界がはっきりせず道路との関係が不明確な底地(借地人がいる土地)
12.別荘地・リゾートマンション
13.広大地には該当しないが路線価評価より低く売れる場合
14.私道(位置指定道路)
15.土壌汚染・埋蔵文化財・地下埋設物のある土地

※ 1・5・6・9は法令上、問題がある土地
※ これらの土地を事前に把握することが重要です。

相続において不動産鑑定が必要とされるケース

1.相続税申告時の土地評価

【一般的な土地(標準画地)の場合】
路線価評価(財産評価基本通達による)< 時価評価(鑑定評価)
※この場合、鑑定評価は不要です。

【特殊な土地の場合】
路線価評価(財産評価基本通達による)> 時価評価(鑑定評価)
※このようなことが予想される場合・・・鑑定評価が必要となります。
注:特殊な土地とは・・・
間口狭小地・著しい不整形地・崖地・無道路地・広大地建築確認不可地・山林・雑種地・市街化調整区域等様々なケースがある。

2.民法上の遺産分割協議における土地評価

民法上の財産(不動産)評価は、基本的には鑑定評価による時価による。
この場合は、ほとんどが路線価評価より高くなる。

※相続人間で適正評価を求める場合・・・もめない為の評価
代償分割における代償金の算定にも使う場合あり
※遺留分減殺請求の時の時価評価・・・争いが顕在化している場合

弊社では、税理士先生が、相続税申告後にセカンドオピニオンから、相続税還付を狙われないよう、適切な不動産評価でお役に立てます。

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